2024-01-01から1年間の記事一覧
なんとなく,であるが。 理論物理の人(物理屋さん)は電「場」や磁「場」という気がする。 重力場とか場の量子論とか,「場」一辺倒である。 ところが,学習指導要領を確認したところ,中学理科や高校物理では磁「界」,電「界」という用語が主で,高校理科…
日本工業規格 JIS Z 8201:1981 の現在の後継は日本産業規格 JIS Z 8000-2:2022 であるが,後者は対応する ISO の規格を何らかの自動翻訳に通しただけではないかと疑いたくなるほどの低品質なものへと後退してしまっている。 どのような機構によればこのよう…
運動の三法則と呼ばれるもののうち,第三法則として挙げられるのが作用・反作用の法則である。 リンゴが木からポトリと地面に落ちるのは,地面(地球)がリンゴを引き寄せているからだ,という落下現象の捉え方が既に日常的な感覚を超えているのだが,逆にリ…
集合 M があるとき,その直積 M×M の各元に対して M の要素を一つだけ対応させるような写像 φ があるとき,集合 M とその写像 φ を「セットにした体系」(M,φ) を magma と呼ぶ。 その magma (M,φ) において,写像 f が結合法則 (S) φ(φ(x,y),z)=φ(x,φ(y,z)) …
Hermann von Helmholtz は科学全般にわたって広範かつ重要な業績を多く残した 19 世紀の巨人であるが,一部の界隈で開祖とみなされている Zählen und Messen と題する論説がある。 この表題を仮に日本語訳するとしたら,柔らかい大和言葉と,硬い漢語調とど…
数研出版の登録商標ではないかと思われるのだが,かなり古くからある「チャート式」シリーズ。 今の世の中,とっくにありそうなネタではあるが,インタラクティヴな感じの「チャット式」学習参考書や問題集,といのがひらめいた。 細かい仕様はなんも決まっ…
何年か前に区間に関する計算法の基礎を日本人が確立したという話に出くわした覚えがある。 それは Sunaga Teruo という人の,1958 年に学術文献普及会刊行の Research Association of Applied Geometry Memoirs, Vol. 2 に掲載された Theory of an Interval …
講談社ブルーバックス版の『数の概念』の著者名は,「はしごだか」の髙木貞治となつてゐる。 帯の煽りや秋山仁氏の解説に至るまで,同署は全編に渡つて統一的に「髙」を用ゐてゐる。 御当人はこだわりをお持ちではなひかも知れなひのだが,わたくしは可能な…
戦後日本の主に小中学校における算数・数学教育の問題点を洗い出し,その解決に向けて尽力した遠山啓氏 (1909.8.23-1979.9.11) は,『数学教室』1958 年 8 月号に発表した「量の問題について」と題する言説において,明治期以来の算数教育の礎を築いた数学者…
高木貞治氏の晩年(といっても,出版後 11 年間生きておられたが)の力作『数の概念』(岩波書店,1949 年)は,私はかれこれ 30 年近く前に大学の図書室で手に取ったものだが,当時はなぜか内容に全く興味を覚えなかった。当時の私には「序」に書かれたこと…
何か全体集合 X が与えられており,その要素 x に関する,真か偽かを判定できる条件(述語函数)p(x) を考える。 この述語 p(x) を真にするような X の要素をすべて集めた,X の部分集合を P とおく。 このような集合は,確か高校数学では述語 p(x) の真理集…
南雲道夫氏本人は 1944 年に出版されたと記載しておられるので,実際そうだったのであろうが,全国誌上数学談話会のバックナンバーを見ると『正ノ量ト實數トニ関スル一考察』は昭和 17 年,すなわち 1942 年の 246 号に掲載されているという記録なので,私は…
大阪大学数学教室が昭和 9 年から昭和 24 年にかけて主宰し,発行していた全国誌上数学談話会は宝の山のような,何か人をワクワクさせるような魅力に満ちた雑誌である。 森毅氏の『位相のこころ』(ちくま学芸文庫版)は一般位相の素養がまったくない私には…
世界的に著名な物理学者である田崎晴明(別名 Hal Tasaki)さんの名字は本当は「たざき」と読むのだということを,かなり前に(そしてここ一年ほど顔を合わせていない)友人の gk 氏から教わった。 よく似た話は歌手の浜崎あゆみさんが「はまざき」であると…
与えられた 3 つの数 a, b, c に対する未知数 x に関する 2 次方程式 ax2+bx+c=0 について考えてみよう。 方程式の右辺が 0 であることから,定数 c は無次元量 (adimensional quantity) と見て差し支えない。 x の次元を d とおく:dim x=d. そうすると b …
夏休みの自由研究 夏休み期間に行う自由研究の一つとして物理量と単位,次元の世界常識を学ぶことにした。 参考文献 参考文献として,まずは公的機関が発行している次のような文書を一次資料として使用する。 日本産業規格の一つ,JIS Z8000-1 : 2014. ISO/I…
まったくもって今さらの話ではあるが,JIS Z8000-1 で量と次元,単位について学んでいる。 これは夏休みの課題といったところである。 原本は JISC 日本産業標準調査会のサイトで,自分の個人情報を受け渡せば(?)無課金で閲覧できる。 関連のある話題とし…
ふたつの集合 A と B の間に全単射が存在するとき,A と B は対等であるといい,そうであることを |A|=|B| と書くことにする。 ここしばらく私が気になっていることは,自然数の集合 N が「最小」の無限集合であるかどうか,ということであるが,Azriel Levy…
ドイツ人の Sommerfeld は Sommer 夏 Feld 野原 なので,夏野さん,もしくは夏原さん。 Einstein は ein 一つの Stein 石 だから,一石さん。 こんな調子でヨーロッパの苗字を日本語(というより,漢字)に変換してみる,という遊びを時々やる。 Taylor は仕…
もう世の流れを改めることは叶わないであろうが。 「デジタル」のもとは英語の digital である。 綴りを見ればわかると思うが,"di" を "デ" と読む余地などない。 それとも,「イ」と「エ」の発音を区別できないお土地柄だとでもいうのであろうか。 そした…
よく見かける群の定義の述べ方に,数理論理学的観点から見て不適切な点が含まれていることを,私は本橋信義氏の『新しい論理序説』(朝倉書店,1997 年)で初めて知った。 「よく見かける群の定義」というのは次のようなものである。 <quote> 集合 G を空でないとし</quote>…
久々に「力積」という言葉を耳にした。懐かしく感じた。 いわゆる Newton 力学での質点の運動は,Newton 方程式 ma=f によって記述されるという。 もちろん,これは慣性系においてのみ成り立つ,という但し書きが付く。 いきなりわき道に逸れるが,その「慣…
産総研が配布している SI 単位系の布教パンフレットをざらっと眺めていたら,力のモーメントの単位は SI では N・m であって,これはエネルギーの単位 J と次元が同じだけれども,力のモーメントの方を J と書くことはありません,みたいな注意が書かれてい…
新興社啓林館の河合塾・大竹先生による先生方のための徹底入試対策講座は実に 139 回分もの記事が掲載されていて,いろいろと参考になりそうである。 そのサイトは高校数学における複素数の極形式とはどういうものかを確認しようとあれこれ調べていた際にヒ…
大学以上の数学ではギリシャ文字をよく使う。 もちろん,物理学や化学など,他の理学分野でも多用される。 春先の新入生を悩ませるのが,それらギリシャ文字の,読み方よりもどちらかというと書き方である。 漢字には筆順という概念があり,小学校でひらがな…
その歩みは亀よりも遅く,そして気まぐれである。 いまや廃れた CASL II で 1 から 9 までの数字を順に表示するプログラムを作った。 これは FizzBuzz 問題の解答を作ための練習の一環である。 SAMPLE START LD GR0,=#0030 LOOP ADDA GR0,=1 ST GR0,DEC OUT …
Giuseppe Peano の Principia Arithmetices はイタリア語で書かれているだろうと思っていたら,格調高くラテン語で書かれていた。 何しろタイトルページにしてからが,著者名が Ioseph Peano というラテン語表記になっているのである。 Isac Newton の Princ…
世界初の hello, world サンプルプログラムは, 1973 年の Kernighan 氏の手になる B 言語のチュートリアルに先立つこと 6 年,1967 年に Martin Richards 氏によって作成された BCPL のマニュアルにさかのぼるという話であるが,Denis M. Richie 氏が自身の…
コロナ禍の時期に VSCode で手軽に数式入りのメモを作成する技能を獲得した。 その少し前から,この goo blog に対する大きな不満というか限界というか,ブログ記事内で気軽に数式表示を使いたいという願望が抑えきれなくなり,Terrence Tao 氏をはじめとす…
それは決して蛮勇ではない,と私は主張したい。 20 世紀を代表する卓越した計算機科学者の一人である Donald Ervin Knuth 氏は,1987 年に Stanford 大学にて数学的な文章の書き方 (Mathematical Writing) の講義を行った。 その講義資料は,一部著作権が関…